ローリスク不動産投資

不動産のリスクをどう最小限にするか、独自コメント不動産マメ知識を紹介します

売買契約書 ~条文解説 注意点①~

f:id:keiichi2017:20170228232408j:plain

 

はじめに

本サイトでは、高額な商品である不動産について、いかにリスクなく取引をしていけるかということに着目しいるブログです。今回より、一般的な「売買契約書」について、一つ一つ解説をしていきたいと思います。

不動産取引において、いくらいい物件を見つけても、売買契約で揉めてしまっては、大切な時間とお金がとられてしまいます。リスクをなくす為に最低限の知識として知っておくといいと思います。

なお、売買契約書の条文等は、一般的な内容を抽出しています。なるべく多種多様なケースを想定していきたいと思っていますが、特殊な契約には対応していない点もあるかと思います。ご了承ください。

 

第1条 売買の目的物及び売買代金

条文例

売主は、表記土地(以下「土地」という。)及び表記建物(以下「建物」という。土地建物を総称して「本物件」という)を表記売買代金(以下「売買代金」という。)で買主に売渡し、買主はこれを現況有姿において買い受けます。

 

解説

売買契約の締結を宣言する条項です。売買契約では、売主が買主に不動産の所有権を移転することを、買主が売主に対して売買代金を支払うことをお互いに約束するという契約です。

 

注意点①~現況有姿~

第1条では、条文の最後に「買主はこれを現状有姿において買受けます」と記載があります。現状有姿の文言が入っている場合は、取引が現状有姿でいいかの確認をしましょう。

また、表題部については、「売主・買主の名前が間違っていないか」、「売買金額が間違っていないか」、「融資利用の特約の期日はいつまでなのか」といった基本的な事項ですが、間違いがあってはいけない箇所ですので、十分に確認が必要です。

 

 

第2条 手付金

条文例

1.買主は、売主に対し、表記手付金(以下「手付金」という。)を本契約締結と同時に支払います。

2.売主及び買主は、手付金を表記残代金(以下「残代金」という。)支払いの時に、売買代金の一部に充当します。

解説

手付金の支払いに関する条項です。売買契約の流れとしては、通常、買主から売主に契約時に手付金を支払い、決済引渡時に残代金を支払うことが一般的です。

 

手付金の相場としては、通常売買代金の5%~10%程度です。手付金が低額であると、簡単に売買契約を解除し、他の人に売却することが簡単にできてしまいます。具体例として、売主Aが買主Bに売買代金1,000万円、手付金10万円で売買契約をした後、1,300万円で買いたいという買主Cが現れたとします。売主Aは、手付金10万円の倍20万円を買主Bに支払い売買契約を解除し、新たに買主Cと1,300万円で売買契約締結するということが簡単にできてしまうということです。そのため、手付金が低い取引は望ましくはありません。

ちなみに、取引によっては、手付金が0円という場合もあります。具体例は、下記の通りです。

 

・破産案件(任意売却)

・裁判所の売却許可決定の停止条件付売買

 

例えば、売主が破産者で任意売却をするということがあります。この場合、何らかの理由で契約解除になった時に、買主が売主に支払った手付金について、売主が使い込んでしまって、返還されないことも考えられます。そういったケースでは手付金0円ということもありえます。

 

注意点②~手付金の意味~

 手付金には、①証約手付、②解約手付、③違約手付、④損害賠償の予定の意味があります。

①証約手付とは、契約の成立を証明するための証拠という趣旨で交付される手付です。

②解約手付とは、当事者が契約の履行に着手するまでの間は解除権を留保し、解除した時は、買主は手付放棄、売主は手付の倍返しで清算するという趣旨で交付される手付です。

③違約手付とは、当事者に債務不履行があったとき、違約罰として損害賠償とは別に当然に没収できる趣旨で、交付される手付です。

④損害賠償の予定とは、債務f履行があった時に、予定された損害賠償として、没収または倍額を支払う趣旨で交付される手付です。

 

手付解除になるということは、ほとんどないと思いますが、悪意のある売主・買主にあたってしまうと厄介です。最低限の知識はもって、契約内容を把握しておきましょう。

 

第3条 売買代金の支払い時期及び方法 

条文例 

買主は、売主に対し、売買代金として、残代金を表記各支払日までに現金又は預金小切手で支払います。

 

解説 

売買代金の支払い時期とその方法を定めた条項です。代金の支払方法が決まっている場合は、下記内容を記載することもあります。例えば、

1.「表記支払日までに銀行振込にて支払うものとします。なお、振込手数料は、買主の負担とします。」

2.「表記支払日までに預金小切手にて支払うものとします。なお、預金小切手の作成手数料は、買主負担とします。」

 

注意点③~振込手数料の負担は?~

手付金や残代金を振込する場合、振込手数料を売主、買主どちらが負担するものでしょうか。これは、不動産会社によって売主負担であったり、買主負担であったり異なります。上記の条文のように、契約書の条文に銀行振込と明記し、どちらが振込手数料を負担するかを記載すると揉めません。

売主負担とする根拠:買主は、売主に残代金を現金で支払いをしても、代金を支払ったことになります。しかし、不動産の取引は大きな金額になりますから、安全性を考慮して、現金での支払いをせず銀行振込を行うことが多いです。従って、銀行振込であることは、売主の都合(安全性を保つため)であるため、売主負担であるとする考えがあります。

買主負担とする根拠:「弁済の費用は債務者である買主が負担する」という民法の考えから振込手数料は買主負担であるとする考えがあります。

 

なお、振込手数料を買主負担とした場合でも、売主が、残代金を2つの口座に分けてほしいと依頼があった場合(例えば、残代金5000万を①A銀行に2500万、②B銀行に2500万)2本目からは、売主負担です。なぜなら、売主の都合によって2本目に分ける必要が生じたからです。ケースによって異なりますので、仲介会社に確認を取りましょう。

 

第4条 公薄売買(売買代金固定)の場合

 登記簿面積を取引の基準となる面積とし、測量の有無にかかわらない取引であり、売買代金は契約時に決めた金額で固定とします。

 

条文例

売主及び買主は、本物件の売買対象面積を表記面積とし、実測面積との間に差異が生じても、お互いに異議申し立てないとともに、売買代金の増減を請求しないものとします。

 

解説

測量の有無にかかわらず、登記簿面積により売買する場合で、「公薄売買」と言われる売買契約の方法です。公薄売買で行う取引は、具体例をあげると下記のようなケースです。

①既に測量図がある場合

②既分譲地、土地区画整理事業地などで登記簿面積がある程度信頼できる場合

③任意売却等で売主が測量費用を払って取引できない場合

④山林、農地など取引金額に比べて測量費用が大きすぎる場合

 

第4条  確定測量(清算)の場合

売買契約締結後、残代金支払日までに測量を行い、その実測面積をもって取引を行います。そのため、契約時に清算基準とした面積に差異が生じた場合は、清算を行います。

 

条文例
  1.  売及び買主は、本物件の売買対象面積を、建物については表記面積とし、土地については測量によって得られた面積とします。但し、売主は、測量の結果得られた面積と登記面積とに差異が生じたとしても、地積更生登記は行いません。
  2. 売主は、買主に対し、残代金支払日までにその責任と負担において、隣地所有者等の立ち合いを得て、資格あるものの測量によって作製された測量図を交付します。なお、同測量図には、表記清算の対象となる土地(以下「清算対象土地」という。)の範囲及びその測量面積も記載することとします。
  3. 売主及び買主は、第2項の測量の結果得られた清算対象土地の面積と表記清算基準面積とに差異が生じたとき、売買代金清算に関する覚書を締結して、残代金支払日に表記清算単価により売買代金を清算します。
  4. 第4条第2項にかかわらず、売主は、買主に対し、確定測量図を作製できないときは、平成●年●月●日までであれば、書面により通知して、本契約を解除することができます。
  5. 第4項により、本契約を解除した時、売主は、買主に対し、すみやかに受領済みの金員を無利息にて返還します。なお、売主は、買主に対し、損害賠償の責を負いません。

 

解説

残代金支払日までに土地家屋調査士等による測量を行い、実測面積と登記面積に差異がある時は、残代金支払いの時に、売買代金を清算する契約の方法です。

 

注意点④~測量不調に終わった場合~

本条のポイントは、「隣地所有者等の立ち合いが得られなかった場合の契約解除」ですね。以外とあります。具体例を挙げると下記のようなケースです。

①隣接地所有者が見つからず相当な時間を要する

②隣接地所有者が相続で複数して相当な時間を要する

③隣接地と境界の主張する位置が異なり、立ち合いの合意が得られない。

④隣接地と揉めており、そもそも立会ってくれない。

 

 隣接地の立ち合いが出来ない場合、「契約解除」、「決済引渡日を延長して立ち合いをやる」、「立ち合いできず確定測量図を交付できなくても決済をする」など色々なケースがあります。この場合、売主・買主の交渉となります。

 

www.fudousantousinavi.com

 

第5条 境界の明示   

買主は、残代金支払日までに、売主に現地で境界標を指示し、隣地との境界を明示して、本物件の範囲を認識する必要があります。

条文例

売主は、買主に対して、残代金支払日までに、土地につき現地にて境界標を指示し、境界を明示します。なお、境界標がないとき、売主は、買主に対し、その責任と負担において、新たに境界標を設置して境界を明示します。

 

解説

売主は、現地で境界標を指示することにより境界を明示します。例えば、測量図はあるが、境界標がない場合は、土地家屋調査士等に依頼して新しい境界標を設置してもらうことが必要になります。なお、取引によっては、現地で境界標を指示せずに測量図等でその範囲を説明することもあります。買主は、境界について不安がある場合は、仲介会社に境界について現地で説明を受けたいと話をしましょう。

 

 

注意点⑤~境界に争いがある場合~

売主が、隣接地と境界の争いがある場合、その原因を明確にする必要があります。争いの内容によっては、隣接地所有者との話し合いがつかない場合があります。そうなると、隣接地との境界が今後未確定が続く可能性が高いです。境界が確定しないと土地の分筆等ができないため、仲介会社と相談のうえ、内容によっては弁護士にも相談が必要となります。

 

注意点⑥~境界明示の留意点~

①確定測量図または現況測量図等は既に存在するか。

②境界標、境界石は既にあるか。

③測量図の面積と登記簿面積に大きな差はないか。

④境界にあるフェンス、ブロック等の所有は、売主かそれとも隣接所有者のものか。

⑤越境物はないか(建築物、アンテナ、植栽等)

 

 

売買契約書5条の境界の明示は、4条の売買対象面積・測量・代金清算と一緒と考えるべき内容です。隣接地との関係は、とても重要な内容ですので、しっかりと把握することが必要です。

 

 

第6条 所有権の移転及び引渡し  

条文例 
  1. 本物件の所有権は、買主が売主に対して売買代金全額を支払い、売主がこれを受領した時に売主から買主に移転します。
  2. 売主は、買主に対し、本物件を表記引渡日に引き渡すものとします。

 

解説

所有権移転時期を定めた条項です。本物件の所有権は、買主が売買代金全額を支払ったときに買主に移転します。

民法第176条では、所有権の移転は当事者の意思表示のみで移転するとの規定がありますが、全ての代金を支払った時に所有権移転時期とする方が、当事者にとって公平であるため、本条のような内容が存在することになります。

 なお、一部の特殊な取引で残金留保とするような取引もあります。本来、決済引渡日までに売主・買主がお互いの義務を全て履行し、決済をむかえるわけですが、一部の義務を後日対応するというのが残金留保です。(ポストクロージング、ポスクロともいいます)例えば、境界確認書の交付及び境界の明示が後日になってしまうが当事者が合意した場合などに行われます。

 

第7条 所有権移転登記等

売主の基本的な義務として、買主に対して所有権の移転登記申請手続義務があることを定めた条項です。

条文例 
  1. 売主は、買主に対し、売買代金全額の受領と同時に、本物件の所有権移転登記申請に必要な一切の書類を交付するものとし、買主は、本物件について、その責任において、直ちに買主名義への所有権移転登記申請手続きを行うものとします。

  2. 前項の所有権移転登記に要する費用(登録免許税・司法書士手数料を含む。)は、買主の負担とします。但し、本物件に関する所有権登記名義人の住所・氏名の変更登記を要する場合の費用は、売主負担とします。

解説

 売主は、本物件の売買にあたって、所有権移転登記手続きを行う義務があります。ただし、登記に要する費用は登記によって利益を受けるものが負担すべきですので、登記申請手続きに必要な「登録免許税」「司法書士の報酬等」の費用は、買主負担としています。

売主は、移転登記のための書類を用意するだけとなります。例外として下記のような売主負担の費用があります。

①住所・氏名変更が必要な場合

②権利証・登記識別情報を紛失した場合は、「本人確認情報」を作成するためその費用

③抵当権を抹消することが必要な場合は、抵当権抹消費用がかかります。

 

特約例1 相続登記に関する特例

条文例

売主は、所有権移転登記の時期までに、その責任と負担において、本物件につき売主名義の相続登記を完了します。

 

 解説

 売主が相続で取得した物件で、登記名義が契約時点で被相続人になっている場合に登記名義を変更することを、売主の義務とする特約です。

 

 

特約例2 建物滅失登記の特約

条文例 

 売主は、所有権移転の時期までに、その責任と負担において本物件上には現存しない家屋番号●●の建物の滅失登記を完了しなければなりません。

 

解説

建物は、現存しないが、建物の登記のみが残っている土地を売却するとき、建物登記を売主負担により滅失してもらうための特約です。

 

 

特約例3 滅失協力の特約

条文例

 第7条1項にかかわらず、買主が残代金支払い時に本物件建物につき、所有権移転登記の申請手続きにかえて建物の滅失登記の申請を希望した時は、売主はこれに協力します。なお、建物取壊し費用及び滅失登記の要する費用は買主の負担とします。

 

解説

不動産売買では、土地建物を現状のまま取引して、買主が購入後建物の解体を行う場合に、売主に滅失協力を得ることがあります。これは、買主が建物取り壊す予定であるにもかかわらず、建物の所有権を移転すると登録免許税、不動産取得税がかかるため、売主名義の建物は買主名義に移転せず売主名義のままで滅失登記をします。

 

第8条 抵当権等の抹消 

売主、買主間で合意した不動産売買契約において、売主は、本物件を買主に引き渡す義務があります。そして、売主は、抵当権等の負担のない所有権として買主に引き渡す義務があります。

 

条文例

売主は、本物件について、所有権移転の時期までに、その責任と負担において、抵当権等の担保権、地上権、賃借権等の用益権、その他名目形式の如何を問わず、買主の完全な所有権の行使を阻害する一切の負担を除去抹消するものとします。

 

解説

抵当権は、所有権の交換価値を制約するものです。地上権・賃借権は、使用収益を制約するものであり、売主には、これらの負担を除く必要があります。

その他によくあるものは、根抵当権、使用借権、差押、仮差押も所有権を阻害しますので、除去抹消しなければなりません。

 

条文では、「抵当権等の抹消」は所有権移転の時期までにとしています。

しかし、実務上の不動産取引では、売主は買主から受領する残代金により、債務を完済し、抵当権等の抹消手続きを行うというのが多いです。このような残代金支払日に、残代金の受領、債務の完済、抵当権等の抹消、所有権移転登記までを同時に行うことを同時抹消と呼んだりします。

 

なお、投資用不動産の場合は、賃借権の負担付きでの売買となります。つまり、各部屋を賃貸して賃料を得ることを目的として、不動産を購入しようとしているため、こういった取引となります。この場合は、第8条の抵当権等の抹消のうち賃借権等の用益権は除くとした契約内容となります。

 

第9条 引渡し完了前の滅失・毀損(きそん)等

不動産の売買契約を締結後、決済引渡前に、売主と買主のいずれの責めにも帰すことのできない事由により、売買対象物が滅失、毀損したとき、その損害(危険)を誰が負担するかという危険負担に関する条文になります。この条文の代表例としては、地震などの天災があります。

 

条文例 
  1. 売主及び買主は、引渡し時までに天災地変、その他売主、買主いずれの責めにも期すことのできない事由により、本物件が滅失又はき損して本契約の履行が不可能となったときは、お互いに書面により通知して本契約を解除することができます。但し、修復が可能なときは、売主は、買主に対し、その責任と負担において、修復して引渡します。
  2. 前項により本契約が解除されたときは、売主は、買主に対し、受領済みの金員を無利息にてすみやかに返還するものとします。

 

解説

①本物件が滅失して引渡が不可能になった場合や、毀損して修復するのに多額の費用、多額の時間を要するときは、売主・買主に解除権を与えています。

②本物件が毀損、修復が可能な時は売り主の負担で修復して、引渡し本契約を続行します。

ちなみに、滅失毀損(めっしつきそん)とは、どういった意味でしょうか。「滅失」とは物理的になくなってしまうこと、「毀損」とは物の一部の滅失をいいます。

 

契約続行と解除について

本条文は、物件が滅失・毀損して引渡しが不可能になっても本契約は当然に失効するわけではなく、売主と買主が本契約を続行するかどうか、解除するかの選択ができることとなっています。例えば、建物が滅失・毀損しても土地だけで契約の目的が達せられることもあるからです。

逆に古家付きの土地売買などでは、建物の「引渡し完了前の滅失・毀損等」については、除外することも多いです。もともと取壊し予定であった建物を本条の適用外にしても何ら差支えがないためです。

 

 

第10条 契約書類原本等

条文例

売主は、買主に対し、本物件に関して保有するすべての書類・鍵を引渡し時までに交付するものとします。但し、買主は、売主が前所有者から引継いでいないものについていは、売主から買主へ交付できないことを了承します。

 

解説

物件の資料は、大切です。土地ですと「確定測量図」「境界確認書」、建物ですと「竣工・建築図面」「構造計算書」「建築・消防関係の定期検査資料」投資用不動産だと「賃貸借契約書」「入居申込書」などがあります。

 

まず、取引にあたって、資料の有無を把握します。

  1. 書類があるのか、ないのか。
  2. ない場合は契約に当たってどのような取引にするのか。
  3. ある場合でも原本があるのかコピーしかないのか。

まず、原本書類があるのかどうかを確認します。ない場合、例えば、確定測量・境界確認の件で言うと、確定測量・境界確認を改めて行うのかなどの取引内容の確認をします。最後に、例えば、賃貸借契約書の原本がない場合、コピーはあるのかの確認もしておくことが重要です。

 

注意点⑦ ~最新の契約書はあるか?~
  1. 賃貸借契約書での注意点は、当初契約時の賃貸借契約書はあるが、更新時の契約書がない場合などです。この場合、賃料等が減額されている場合、敷金が変更されている場合もありますので注意が必要です。
  2. 鍵については、売主が持っているのは、決済引渡時に渡されますが、管理会社が保管していて、その管理会社を継続して依頼する場合、鍵は管理会社の手元にあるままというケースが多いです。その場合でも、管理会社が預かっている鍵一覧表等、で預かっている鍵を把握することが必要です。
  3. 投資用不動産の場合、できる限り入居申込書も貰うようにしましょう。なぜなら、賃貸借契約書に記載のないことを知ることができるからです。例えば、入居申込書があれば、賃借人の属性(職業等)を知ることができます。

 

第11条 収益又は公租公課等の分担

本条項は、使用収益の分かれ目になる引渡日を基準にして、引渡完了日までの分を売主に、引渡完了日以降を買主にそれぞれ負担することとしています。

 

 条文例
  1. 売主及び買主は、本物件から生ずる収益又は本物件に対し賦課される固定資産税、都市計画税等の公租公課並びにガス、水道、電気料金及び各種負担金等の諸負担については、引渡日をもって区分し、引渡日の前日までの分を売主の収益又は負担とし、引渡日以降の分を買主の収益又は負担として引渡日において清算します。なお、公租公課の起算日は1月1日とします。
  2. 前項の清算において、本物件建物にかかる固定資産税、都市計画税等公租公課の分担金についての消費税・地方消費税は、買主の負担とします。
 解説

本条で関係してくる清算金は、おおまかに下記の通りです。

  • 固定資産税、都市計画税
  • ガス、水道、電気料金
  • 賃料清算金
  • 管理費清算金(マンションの場合、管理費・修繕積立金)
  • 自治会費、CATV費用

 

固定資産税・都市計画税の起算日は1月1日としており、売主と買主は各々の負担分を1月1日から12月31日の365日で日割り清算します。

以前に固定資産税の清算については、記事にしたので詳細は、下記で確認いただけます。 

 

www.fudousantousinavi.com

 

 

注意点⑧ ~公租公課に消費税!?~

売主が消費税課税事業者である場合、清算金のうち建物にかかるものは建物の譲渡対価の一部を構成するものとして、課税売上に該当するとして取り扱われます。つまり、建物にかかる清算金には別途消費税棟が課せられることになります。

 

 

消費税法基本通達10-1-6(未経過固定資産税等の取扱い)

 固定資産税、自動車税等(以下10-1-6において「固定資産税等」という。)の課税の対象となる資産の譲渡に伴い、当該資産に対して課された固定資産税等について譲渡の時において未経過分がある場合で、その未経過分に相当する金額を当該資産の譲渡について収受する金額とは別に収受している場合であっても、当該未経過分に相当する金額は当該資産の譲渡の金額に含まれるのであるから留意する。

(注) 資産の譲渡を受けた者に対して課されるべき固定資産税等が、当該資産の名義変更をしなかったこと等により当該資産の譲渡をした事業者に対して課された場合において、当該事業者が当該譲渡を受けた者から当該固定資産税等に相当する金額を収受するときには、当該金額は資産の譲渡等の対価に該当しないのであるから留意する。 

 

詳細は、下記の国税庁のHPで確認できます。 

第1節 課税資産の譲渡等|消費税法基本通達|国税庁

 

第12条 物件状況等報告書

 

条文例

売主は、買主に対し、本物件について、本契約締結時における状況等を別紙「物件状況等報告書」に記載して説明します。

 

解説

買主は、不動産を購入する際に、現地確認をします。外観から物件を確認し、建物内も確認するでしょう。しかし、それだけでその不動産の本質的な内容を判断できるとは限りません。

例えば、建物でいうと、雨漏り・シロアリの被害、建物の瑕疵、給排水管の故障なども目視ではわかないでしょう。土地では、境界確定の書類、越境、近隣とのトラブルも確認します。また、心理的瑕疵(自殺等)がある場合、その事実は売主からもしくは仲介会社からの通知がなければなかなか知ることは出来ません。その他にも地盤沈下により建物の傾きが発生していたりすることも一度物件を見ただけでは気づかないことも多いです。

 

注意点~⑨何を記載するのか!?~

本条項は、契約締結時の本物件の状況について、売主から買主に対し物件状況等報告書により「売主が知りえる物件の情報」を開示することにより、将来のトラブル発生の可能性を低くするものです。

 

記載する具体的な内容

  • 雨漏り、シロアリの被害
  • 建物の瑕疵(傾き、腐食、不具合等)
  • アスベスト調査の有無(アスベストを使用しているかの調査結果があるか)
  • 給排水管の故障(配管等の割れ、水漏れ、赤サビ水など)
  • 増改築、修繕、リフォームの履歴(壁や柱の撤去移動等の増改築、間取の変更)
  • 境界確定の状況(境界に関する取り決め書類)
  • 越境に関する事項(越境の有無、近隣との覚書、取り決め、トラブルの有無)
  • 地盤沈下(地盤沈下による建物の傾き、擁壁の傾き)
  • 土壌汚染等による瑕疵(過去にクリーニング屋、工場、ガソリンスタンドの敷地であった等)
  • 地中埋設物(過去にビルが建っており以前の建物の杭が地中に残っている、浄化槽を地中で埋め殺し処理、井戸の有無等)
  • 騒音、振動、臭気等
  • 近隣の嫌悪施設の状況(宗教施設、墓地、反社会的勢力の事務所等)
  • 近隣の建築計画(売買物件に日照等の影響を及ぼす可能性のあるもの)
  • 電波障害(テレビ等の電波に障害がある場合)
  • 近隣との申し合わせ事項(町内会、ごみ収集場所など)
  • 浸水等の被害(対象物件の床上、床下浸水、周辺地域の浸水履歴)
  • 心理的瑕疵(自殺・他殺等)

 

www.fudousantousinavi.com

 

© 2017 KEIICHI