ディズニーランドの土地の歴史 ~夢の国は利権争いの埋立地~

東京ディズニーリゾートの土地の歴史

はじめに

東京ディズニーリゾートは、千葉県浦安市にあるウォルト・ディズニー作品の世界観を表現したテーマパークです。東京ディズニーランド、東京ディズニーシー、ホテル等から構成され、東京ディズニーランド及び東京ディズニーシーはオリエンタルランドという会社が運営を行っています。本日は、東京ディズニーリゾートの歴史やマメ知識について話をしていこうと思います。

オリエンタルランドの誕生。出資の3社とは!?

オリエンタルランドは、1960年7月に京成電鉄、三井不動産、朝日土地興業の3社によって設立された会社です。当初の目的は浦安沖の埋め立て工事です。1962年7月千葉県と「浦安地区土地造成事業及び分譲に関する協定」を締結しました。そして、1964年に浦安沖の海面埋立造成工事を開始します。

オリエンタルランドが進めていた大規模遊園地のマスタープラン(基本計画書)が、纏まるまで約14年の月日がかかっています。これは、埋め立て工事の遅延や経営面の事情があったからのようです。1973年6月に基本契約が発表され、ディズニー誘致の具体的検討に入ります。しかし、当時ディズニーには、欧州、日本を含めて20数件の話が来ていました。日本でも富士山麓の土地を予定していた三菱地所や、読売ランドが検討をしていたようです。そんな中、ディズニーのウォーカー社長が来日し、浦安という東京に一番近く地理的にいい場所であるオリエンタルランドの土地が適地ということで提携の話が進行していくことになります。

千葉特有の埋立工事手法「千葉方式とは!?」

千葉県では、当時埋め立て事業が千葉県各所で展開されていました。そこで編み出されたのが「千葉方式」と言われる方式です。これは「県自身が埋め立て権を持ち、造成工事の事業主体となるが、赤字県で起債ができないので、埋め立て工事費、漁業補償費、関連施設整備費を立て替え、それらは造成した工業用地に進出する企業から県に収められた前納金で支払われれる」という方式です。

オリエンタルランドによる浦安の埋めてても、千葉方式が採用されています。県は、お金を使わずに埋立を推進できるので、事業主の県によっては至れり尽くせりの方式である。しかし、ほとんどを施工業者に任せてしまうため、透明性に欠け、公正さに疑問が残ると指摘されていました。

オリエンタルランドが手にした土地は、103.8万坪!

浦安地区の埋立て計画では、約260万坪の埋立てが行われます。そのうち、オリエンタルランドが、千葉方式によって手に入れたのは、約103.8万坪のな埋立地です。遊園地用地として千葉県から払い下げられた土地は、63万8000坪。このうち25万2000坪が東京ディズニーリゾートの用地。7万4000坪がホテル等の関連事業用地。残りの約31万坪は、目的がはっきりしていなかった。

 

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オリエンタルランドが土地転売!?

オリエンタルランドが手にした103.8万坪を大別すると、遊園地用地63.8万坪、住宅用地40万坪に分けられます。協定書によると、千葉県からオリエンタルランドへの譲渡価格が約坪1万6000円程度になっています。

①住宅用地40万坪

住宅用地40万坪は、転売されていきました。一例は、下記の通りです。

  • 約23万坪:三井不動産と京成電鉄に坪4.5万円で売却
  • 約8万坪:日本住宅公団、長谷工などの不動産業者に坪3.6万~坪79.6万円で売却

なお、三井不動産と京成電鉄は、約23坪のうち約11万坪を坪単価13.8万円で日本住宅公団に売却。残りの12万坪は、エンドユーザーに坪50万円前後で住宅地として分譲しています。三井不動産が「パークシティアベニュー舞浜」という名で、京成電鉄が「パークシティ京成ローズタウン」という名で分譲した住宅地は、バブル期に1億円を超えていたといわれています。

なお、余談ですが、パークシティアベニュー舞浜、パークシティ京成ローズタウンは、東日本大震災において、浦安が震度5強を記録したころから、液状化があったエリアです。

②遊園地用地63.8万坪

協定書では遊園地用地63.8万坪は、県の承認なしに第三者へ譲渡することが禁止されていました。しかし、オリエンタルランドは、この協定に違反して、三井不動産に5万坪を坪4万円、京成電鉄に1万坪を坪4万円、遠山偕成に1.5万坪を坪5万円で売却した。しかし、これらの違反は、千葉県より売買契約が解除されています。

また、東京ディズニーランドが開園した段階では、ディズニーランド及び駐車場の25万坪が協定通りに利用されていました。残りの38万坪は、未利用であり千葉県はオリエンタルランドの経営資金にあてる名目で用途制限を解除しています。その後、オリエンタルランドは、7.4万坪のうち6万坪をホテル業者などに坪80万円で売却している。

③土地転売の賛否

本件の土地転売によって得た利益が、政治的な名目に使われていたという話もありますが、もちろん不透明なお金の流れはよくないです。また、協定書に違反して転売したという事実も、今の世の中であれば必ず叩かれるだろう内容だと思います。しかし、土地転売は全て悪というものでもないです。なぜなら、不動産以外でも転売は、数多く存在し、不動産においても、今なお転売は日常茶飯事で行われているからです。

 

 ディズニーランドの建設会社

1980年12月、東京ディズニーランドの着工がスタートします。工事は、鹿島建設・清水建設・大成建設・間組などの各社が分担施工しました。2年後の1982年12月に東京ディズニーランドは竣工しました。

建設費総計約1500億弱が開業までに要した総事業費でした。この資金調達は、協調団融資からの借り入れが1150億円、残りはスポンサー料などで賄っている。

出典

・OLC GROUPのHP OLCの沿革・歴史

・東京ディズニーリゾート 暗黒の軌跡 田中幾太郎 リベラルタイム出版社

・東京ディズニーランドの真相 加納靖久 近代文芸社

・ディズニーランドの経済学 栗田房穂 高成田享 朝日文庫

ディズニーマメ知識

オリエンタルランドのスポンサー

ディズニーランドが建築される際の建設費は、1500億と予想以上に巨額になりました。そこで主要な施設、独自の施設にスポンサーを付ける計画をとりました。1流企業15社前後を目標に約300億円のスポンサー料を目標としたところから始まります。これは企業参加方式と言われるもので、各施設に1業種1社を建前としてスポンサーを募った。企業は契約金を支払う代わりに、園内で自社製品の販売が出来、東京ディズニーランドの名前やシンボルなどを広告に使うことができるものです。

当初のスポンサーは、そごう、服部セイコー、日本石油、講談社、日本コカコーラ、富士写真フィルム、ブリジストン、日本水産、プリマハム、上島珈琲、ユーハイム、きりん麦酒、ハウス食品、キッコーマン、明治乳業、日本航空、トミー工業、サンキスト、山崎パン、松下電器の20社に決定しました。

なお、2018年時点のスポンサーは、下記の通りです。

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ちなみに、ディズニーには「スポンサーラウンジ」という非公開のラウンジがあります。スポンサー企業によって異なりますが、スピンサー企業に勤めている職員や家族などは、アトラクションの優先搭乗やフリードリンクが飲めたりと様々な特典を受けることができます。

また、クラブ33という会員制レストランがあります。一般の方で行く方法は、JCBカードの最上位に位置する「ザ・クラス」を保有することで、特典で1年に一度行くことが出来ます。ディズニーランド内で唯一アルコールを飲める場所でもあります。

オリエンタルランドの株主

オリエンタルランドの主要株主の構成は、下記の通りです。東京ディズニーリゾートの土地の歴史に深くかかわりがある京成電鉄、三井不動産、千葉県が現在も大株主となっています。

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 東京ディズニーリゾートの歴史を知る2つの本のご紹介

東京ディズニーリゾートの歴史を知る2つの本を紹介したいと思います。「東京ディズニーリゾート暗黒の軌跡」「東京ディズニーランドの真相」です。

「東京ディズニーリゾート暗黒の軌跡」は、夢の国が埋め立てられた過去の歴史の話です。その土地は、利権争いに暗闘した場所であったということが著者の取材でよくわかります。

「東京ディズニーランドの真相」

三井・京成・朝日土地が土地の埋め立ての歴史を泥臭く、生々しく進めていった経緯が見れます。