【合格者が話す】鑑定評価基準の暗記で実践した7つの方法

鑑定評価基準の暗記で実践した7つの方法

私が、鑑定士試験で一番苦労したのが鑑定評価基準の暗記でした。約2年ちょっとの勉強期間でしたが、暗記だけは一日も欠かさず行いました。鑑定士試験に合格するには、鑑定評価基準の暗記が絶対です。

本日は、私が実践した暗記方法の話をさせていただきます。

1.毎日暗記の時間を作る

暗記で重要なポイントが2つあります。1つ目は毎日やること。2つ目は数多くやることです。当たり前のことですが、やり続けることはとても難しいです。

1つ目は、毎日やることです。日にち・時間を空けてはいけません。例えば、鑑定評価基準の暗記に1000時間を費やしたとします。「毎日3時間を1年間で合計約1000時間暗記に費やした」場合と「1週間に1度3時間を7年間で合計約1000時間暗記に費やした」場合を比較してみます。極端ですが、7年間かけて暗記しても1週間に1度の暗記では大抵の人は忘れます。同じ1000時間でも、いかに毎日やるかが大事です。

2つ目は、数多くやることです。例えば、私の祖母は認知症になりました。先生が認知症かの確認を取るときまず名前から聞きます。自分の名前は、人生で最も自分が言葉にして、書いて、呼ばれて耳にします。だから、大抵は最後まで覚えています。理屈は一緒だと思います。とりあえず暗記はやった数がものをいいます。

イチローは、「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道」と言ってます。鑑定評価基準を覚えることも小さいことの積み重ねです。

人は、忘れゆく生き物です。悲しいことも、辛いことも、楽しかったことさえも時の流れの中で忘れてしまいます。あなたは、幼稚園の時の出来事をいくつ思い出せますか?私はすぐ思い出せるような出来事は10もないでしょう。単純作業の暗記なんてすぐ忘れてしまうのです。その方が当たり前、自然なことです。毎日、数多くやり続ける、それしかないのです。

2.理解して覚える

暗記は、「単純に覚える」のと「理解して覚える」では、暗記の定着度合いが違うと思っています。少なくても、私は暗記していてそう感じました。特に、第1章の不動産の鑑定評価に関する基本的考察は、概念の中の概念みたいな話で、とても苦痛でした。そのため、なるべく理解して暗記するようにしていました。

鑑定評価基準第1章の「不動産の鑑定評価に関する基本的考察」の根本となる考え方です。少し古いところもありますが、理解が深まります。

例えば、第1章第4節に「土地は、土地基本法に定める土地についての基本理念に即して利用及び取引が行われるべきであり、特に投機的取引の対象とされてはならないものである」とあります。私は暗記始め際に、土地基本法に目を通しました。土地基本法では、目的や公共の福祉が優先されることの記載があります。また、第4条に「土地は投機的取引の対象とされてはならない」と記載があることを確認します。土地基本法の中でも重要性が高く感じるこの条文が、土地基本法の条文の中で最も短い文章で記載されています。何か意図があるのか、議論があった結果纏まらないため抽象的な表現になったのかもしれません。

それはなぜか?どこからこの文言が来ているのか?背景は何か?少しでも理解してから暗記に臨むと暗記の定着率が違います。

3.よく使う定義から覚える

鑑定評価基準の暗記で挫折しそうになったのは、暗記初期です。1章の不動産の鑑定評価に関する基本的考察から暗記を開始していったのですが、覚えられません。

使う頻度が高いもの、理解が深まったところから暗記をしていくことが望ましいです。例えば、最有効使用の原則からなど使う頻度が高いものから暗記をしていくということです。

4.語呂等耳で、覚えやすいフレーズは、テンポで覚える

私は、理解して覚えるがベストだと思っていますが、理解して覚えるものでないこともあります。例えば、第4章「不動産の価格に関する諸原則」です。基準を暗記する前に、諸原則が11個あることを覚える必要があります。ここは、理解より語呂合わせ、リズムで覚えていきます。頭文字を覚えてそこから11個の定義を覚えていきます。

フレーズ・テンポで覚える

・じゅ(需要と供給の原則)

・へん(変動の原則)

・だい(代替の原則)

・さい(最有効使用の原則)

・きん(均衡の原則)

・しゅう(収益逓増および逓減の法則)

・しゅう(収益配分の原則)

・き(寄与の原則)

・てき(適合の原則)

・きょう(競争の原則)

・よ(予測の原則)

例えば、好きな歌で「歌詞を理解して歌を歌えるようになる時」と、「何を言っているかよくわからないけど、リズムと感覚で覚えて歌えるようになる時」があると思います。理解で覚えるものでないと感じたら、語呂合わせとリズムで感覚で覚えていきましょう。

5.書いて覚えず、読んで覚える

私の主観ですが、書いた方が暗記の定着率は高いと思います。しかし、鑑定評価基準は読んで覚えました。これは、書いて覚えるには時間がかかりすぎるためです。例えば、最有効使用の原則を書くのと読むのではどちらが早いでしょうか。読む方が早いです。もし、どうしても書く方が覚えるというのであれば、論文練習の時間を増やして書く練習はそっちでして行く方がいいでしょう。それくらい、書いて覚えるのと読んで覚えるのは、かかる時間が違ってきます。

ちなみに、一度基準を音声で聞いて覚えようとしましたが、難しかったです。寝ている時もイヤホンつけて基準をリピートさせて試しましたがさっぱりでした。人によるかもしれませんが、少なくても私は耳で聞いただけでは、暗記が全く定着しなかったです。

6.勉強方法共有のため、モチベーション維持のため、勉強仲間を作る

勉強仲間を作ることは重要です。例えば、私は暗記初期(短答式試験勉強中)基準の暗記を第1章から始めました。なかなか覚えられません。お風呂の湯舟に浸かって暗記をしていましたが、あまりに覚えが悪くてコンパクトサイズの暗記テキストをお風呂の壁に投げつけて、湯舟に落としふにゃふにゃにした覚えがあります。その時に、勉強仲間が無理して第1章から暗記しないで、使う頻度が高いところから勉強していった方がいいとアドバイスをもらいました。今考えると当たり前ですが、初期段階の私にはこのアドバイスはとても役立ちました。

また、暗記の定着具合は、勉強仲間で集まって話をしていたりすると、自分のレベルが客観的にわかります。自分より勉強が進んでいる人、自分と同レベルの人、モチベーションが高い・驚異的な持続がある人など、参考となる人の意見を聞くことによって、勉強・暗記の進み具合は劇的に変わります。

7.電車などスキマ時間を活用

時間の節約方法については、先日記事にしたので、よろしければ、過去の記事をご覧になってもらえればと思います。ただでさえ、膨大な時間を要する鑑定士試験ですから、いかに時間を節約するかは重要なポイントになっていきます。