ローリスク不動産投資

不動産のリスクをどう最小限にするか、独自コメント不動産マメ知識を紹介します

視点別で見る任意売却の注意点とデメリット

f:id:keiichi2017:20170610214414j:plain

  

はじめに

「競売」とは、債務者から債権の返済を受けらなくなった債権者が、債務者が所有する不動産などを裁判所の管理下で強制的に売却し、その売却代金から債務の支払いを受ける手続きをいいます。

「任意売却」とは、債務の弁済が滞り、競売前に債権者と合意の上で、債務者自身の意思で不動産を売却することをいいます。

「競売」も「任意売却」も債務の弁済が滞っていることは共通しています。相違点は、競売前に債務者債権者が合意のもと、任意で不動産を売却するという点です。

 

※債務者:お金を借りている側(例えば、住宅ローン・アパートローンを借りている個人)

※債権者:お金を貸している側(例えば、金融機関)

 

 

債務者から見る任意売却と競売のメリット・デメリット

債務の返済が滞った時、基本的には任意売却を勧められることが多いです。しかし、選択肢によっては、競売にもメリットがあります。任意売却と競売のメリット・デメリットを見ていきましょう。

f:id:keiichi2017:20170610230018j:plain

 「任意売却」のメリット
  1. 競売より高く売却できる可能性があります。高く売却することによって残債も減ります。任意売却物件がお勧めされる理由の一つです。但し、不動産マーケットが上昇トレンドにある時は、競売でも高値がつくことがありますので、一概に競売より任意売却の方が高いとは言えません。
  2. 引越費用を認めてもらえるケースがあります。まず、前提としては居住用の不動産であることです。任意売却をする場合、たいていは賃貸で引越し先を探さなくてはなりません。(一部セル&リースバックスキームを使うこともある)その場合、引越しにかかる費用を経費として債権者が認めてくれる場合があります。金額については、債権者との交渉次第ですが、30万円前後くらいまでが多いと思います。

 

「任意売却」のデメリット
  1. 競売は、何もしなくても手続きは進んでいくわけですが、任意売却の場合は、債権者との調整や仲介会社との調整、物件の内覧、売却手続きなど多少の手間がかかります。
  2. 債権者の同意が必要です。必ずしも同意が取れるわけではありません。例えば、金融機関の不動産の評価が1億円。任意売却での価格が8000万の場合、金融機関が任意売却を承諾してくれない場合もあります。また、金融機関以外の「個人の債権者」などからの抵当権で感情的になっている場合は、金額ではなく承諾しないというケースもあります。

 

「競売」のメリット
  1. 手間がかからず楽です。
  2. 競売後に自己破産をしてリセットする。競売が実行され、手元に担保となるような不動産がなくなった後に残債が残っている場合、ここで自己破産をする方は多いです。ちなみに、任意売却した場合は、任意売却が成立した段階で、今後の返済についてを債権者と話し合います。債権者としても担保がない債務者からお金を返してもらうことは困難とわかっています。そのため、任意売却が成立したところで債務免除ができることもあります。もしくは、債権者が担保なしの債権をバルクでサービサーに安価で売却することもあります。(この無担保債権をポンカス債などとも呼ばれます)
  3. 譲渡税がかからない。不動産は、売却した時に売却益が出た場合は譲渡税がかかります。居住用の不動産の場合には、居住用財産の3000万円の特別控除があるため、譲渡税がかかるケースは少ないと思います。投資用不動産・事業用不動産等の場合では、譲渡益が出れば譲渡税がかかりますが、所得税法9条に該当する場合、非課税となります。

 

 

「競売」のデメリット
  1. 引越費用は出ません。
  2. 売却代金が低くなり、残債が多く残る。

 

 

債務者の任意売却・競売時の税金について

 債務者が任意売却もしくは競売で不動産を手放す場合、税金について知っておく必要があります。任意売却の場合、仲介会社が教えてくれることは稀でしょう。競売では教えてくれることはないでしょう。自らがしっかりと把握しておく必要があります。

 

譲渡税は非課税?(所得税法9条10項)

譲渡税は、不動産を売却し売却益が出た場合にかかる税金です。ただし、居住用の不動産の場合には、居住用財産の3000万円の特別控除があるため、譲渡税がかかるケースは少ないと思います。投資用不動産・事業用不動産等の場合では、譲渡益が出れば譲渡税がかかりますが、所得税法9条に該当する場合、非課税となります。具体的にどういうケースが該当するか見ていきます。

 

所得税第9条10項

資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における国税通則法第二条第十号 (定義)に規定する強制換価手続による資産の譲渡による所得その他これに類するものとして政令で定める所得(第三十三条第二項第一号(譲渡所得に含まれない所得)の規定に該当するものを除く。)

 

「競売」の場合

資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における規定する強制換価手続による資産の譲渡である場合

「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難」とは、債務超過の状態にあって、その者の信用、才能等を活用しても、現にその債務の全部を弁済するための資金を調達することができないのみならず、近い将来においても調達することができないと認められる場合」と解釈されています。

〔強制換価等による譲渡(第10号関係〕|通達目次 / 所得税基本通達|国税庁

 

「任意売却」の場合

資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であること

競売などの強制換価手続が回避できないこと

売買代金が債務の弁済に充てられること

 

(所得税法第9条10項、所得税法施行令第26条)

 

これらの条件が満たすかどうかは、税理士や最寄りの税務署へ問い合わせをしましょう。特に任意売却の場合、その判断基準が難しいです。

 

保証債務を履行するため資産の譲渡をした場合(所得税法第64条2項)

保証債務のために自分の不動産を売却するということは、自らの意思で不動産の譲渡するわけではありません。そのため、条件を満たす場合、保証債務の履行による売却益には、所得税はかかりません。

 

所得税法第64条2項

保証債務を履行するため資産(第三十三条第二項第一号(譲渡所得に含まれない所得)の規定に該当するものを除く。)の譲渡(同条第一項に規定する政令で定める行為を含む。)があつた場合において、その履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができないこととなつたときは、その行使することができないこととなつた金額(不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を除く。)を前項に規定する回収することができないこととなった金額とみなして、同項の規定を適用する。

 

 要件

①主たる債務者が既に債務を弁済できない状態であること

②保証債務を履行するために土地建物を売却したこと

③履行した債務の全額又は一部の金額が本来の債務者から回収できなくなったこと

 

認めなかった事例 | 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所

上記のリンク先にあるように認められなかった事例があります。これらの条件が満たすかどうかは、税理士や最寄りの税務署へ問い合わせをしましょう。 

 

  

任意売却における債権者の同意について

任意売却を成立させるためには、債権者の同意が必要となります。任意売却における一番のポイントです。そんな債権者の同意について説明していきます。

 

債権者の同意が得られないケース

  1. 債権者の債権額以下であり、債権者の同意が得られない。
  2. 債権者の評価額以下であり、債権者の同意が得られない。
  3. 競売の評価額以下であり、債権者の同意が得られない。
  4. 後順位抵当権者のハンコ代の同意が得られない。
  5. 税金の差押えが解除できない。
  6. 不動産が共有になっており、共有者の同意が得られない。

 

代表的なものは、上記のようなケースです。これは、債権者によって状況が全く異なります。例えば、

①の債権額(元金)以下というのも元金だけでなく、「元金+2年分の利息+遅延損害金」まで求められることもあります。

③のケースは、競売の評価額が出ていて、債権者としては評価額以下だとしても公の金額が出ているので、その金額以上であれば抹消してくれるというケースは多いです。

④の後順位まで配当が回らない場合、ハンコ代での交渉となりますが、ハンコ代では認めないケース、ハンコ代でも金額が低く同意してくれないケースがあります。

⑤例えば、固定資産税の滞納で税金の差押があるケースです。元金より配当が少ない場合抹消同意してくれいということは、民間企業より多いです。つまり税金の抹消は厳しいということです。

 

購入者からみる任意売却物件のメリット・デメリット

f:id:keiichi2017:20170611181124j:plain

任意売却のメリット

  1. 物件によっては、安く購入できます。ただし、一般市場と変わらない価格も多いですからご自身が不動産の相場をしっかり把握しておく必要があります。また、任意売却のデメリットでも触れますが、物件の管理が行き届いていない物件だったり、瑕疵担保免責で購入した結果、大きな修繕が必要になることもあります。
  2. 未公開物件がほとんどです。これは、なぜかというと、例えば一般公開されている物件は、売主が1億で売りたいと言って1億で購入者が現れれば売買が成立します。しかし、任意売却物件は売主だけでなく債権者の同意も必要です。仲介会社は、債権者と話をした結果この金額であれば抹消してくれるであろうという想定の金額を債務者同意のもと売出価格にします。その後、買手が現れ話が進むと、金融機関担当者は、最終的に社内の稟議をあげます。そこで否認されることもあるからです。そのため、任意売却物件は水面下で扱われることが多いです。

 

任意売却のデメリット

  1. 瑕疵担保免責の取引となります。任意売却は、売主は資力がない状態です。瑕疵担保を負う契約にしても将来責任を負えるという状況は少ないため、取引では瑕疵担保免責となることが一般的です。
  2. 物件の管理が行き届いていないことが多いです。資力がない状態ですので、なかなか物件に手入れしていくことが難しいのが現状です。そのため、購入後に修繕費用がかさむことが多いです。
  3. 債権者の同意がとれず、任意売却の話が流れることもあります。話を進めていって、いざ決済引渡し前に、債権者から抹消の同意が取れないということもあります。

 

競売のメリット

  1. 競売市場は、一般市場より価格が安く設定されています。物件の内覧ができなかったりリスクがあるためです。ただし、不動産マーケットが上昇トレンドの時は、競売の入札金額が一般市場より高いのではないかと思える金額で入札されているケースもあります。
  2. 競売では、仲介手数料がかかりません。購入経費が少なくなります。

 

競売のデメリット

  1. 内覧ができません。基本的には、3点セットで物件の状況を把握することと、現地は外観からしか見ることができません。
  2. 原則ローンが使えません。金融機関は、競売物件に融資することはあまりありません。そのため、原則自己資金で購入できる範囲内となります。
  3. 3点セットの内容が不十分なことがあります。任意売却で話が流れて競売に行くケースがありますが、単に価格の折り合いがつかないという場合だけではありません。少なくなりましたが、困った占有者がいるケースもあります。しかし、そこまで3点セットに書かれていないこともあるのです。気をつけましょう。
  4. 瑕疵担保免責の取引となります。
  5. 物件の管理が行き届いていないことが多いです。

 

 

気を付けろ任意売却での「セル&リースバック」

任意売却でセル&リースバックのスキームを使って売却するケースがあります。「セル&リースバック」とは、自用の不動産を売却して、売却と同時にその不動産を賃貸で借りるスキームをいいます。例えば、①自宅である場合、賃貸物件に引っ越さず住み続けたい。年齢が高齢でなかなか賃貸物件が見つからないだろうから引っ越さず住み続けたい。②投資用不動産で一部を自用している場合も同様のケースがあります。

 

購入者から見ても、残置物撤去、リフォームをする手間が省けるため、セル&リースバックのスキームは、一見ベストチョイスと考えられます。しかし、よく考えてみてください。任意売却をしようと考えている人は、資力がない状態です。セル&リースバックで賃貸したとしてその賃料は、払い続けることができるでしょうか?債務者が毎月払い続けていける賃料はいくらなのか?その無理なく払い続けることができる賃料で投資用不動産として収支があうのか?ここがポイントです。

 

私は、セル&リースバックスキームをよく見てきました。そして、任意売却をする際は、win-winの関係であっても1年後・2年後に結局支払いが滞るということがあります。こうなると賃借人を退去させることは簡単ではありません。十分に注意して判断することが必要です。

 

気を付けろ任意売却での「瑕疵担保責任」

任意売却の取引条件は、おそらくほとんど瑕疵担保免責の取引となるでしょう。なぜならば、資力がない状態ですので将来物件に瑕疵が見つかったとしてもその責任を負うことが困難なためです。瑕疵担保免責の場合で気を付けておくべき点を確認しておきます。

 

①土地について

購入後、現況の建物を利用することを考えている場合、土地の瑕疵については、建て替え時まですぐに問題となることはないかもしれません。しかし、ポイントは押さえておくべきでしょう。「地盤沈下でなかったか」「過去工場やクリーニング屋のような土壌汚染の可能性がある使用をしていなかったか」「浄化槽から公共下水に切り替えた時に浄化槽を埋めていないか」「隣接地と境界トラブルはないか」などの確認をしておくといいでしょう。

 

②建物について

まず、任意売却では競売と異なり物件の内覧をすることはできるでしょう。物件の内覧をして、「建物に不具合はないか」「過去の修繕履歴」「雨漏りの履歴」など確認しておきましょう。

 

③賃借人について

投資用不動産の場合、賃借人についてもしっかりと把握しておくことが必要です。「滞納等はないか」「保証人・保証会社の有無」「賃貸借契約書の原本の有無」「過去の賃借人で自殺等がなかったか」このあたりは、確認しておくことが必要です。

 

 

任意売却市場で戦う準備

 

任意売却市場での買手の多くは、不動産会社等のプロでしょう。そこに一部の個人投資家等のセミプロが存在します。ライバルにアマチュアはいません。プロと戦うためお準備とちょっとした心得をお伝えしたいと思います。

 

任意売却で重要なこと

任売却物件を購入するにあたって、私が考える重要なことです。

①仲介会社との信頼関係

②仲介手数料を値切らない

③任意売却、不動産に対する知識をつける

 

①仲介会社との信頼関係

任意売却物件の情報を得るためには、仲介会社とのパイプが必要です。そのため、まずは任意売却物件の情報をくれる仲介会社と知り合う必要があります。次にその仲介会社から物件を紹介してもらえるような信頼関係を築き上げる必要があります。

 

②仲介手数料を値切らない

任意売却物件の情報源は、仲介会社です。仲介会社は手数料ビジネスです。その手数料は、原則値切るべきではありません。仲介会社はできれば、不動産会社(プロ)へ物件を紹介するのはなぜだと思いますか?一番の理由は手数料にあります。

仲介手数料の基礎編については、下記の記事をご参照ください。

 

www.fudousantousinavi.com

 仲介業者は、売主及び買主共に自分の顧客だった場合、売主から「3%+6万+消費税」を買主から「3%+6万+消費税」を頂戴します。買主が不動産会社等のプロであった場合、購入後に残置物撤去、リフォームをして再販をします。その時に売主から「3%+6万+消費税」を買主から「3%+6万+消費税」をもらえたとします。こうなると仲介会社は、「12%+24万+消費税」の仕事になります。つまり、一旦不動産会社に購入して貰い、再販を貰える約束をして、手数料の最大化を図るというのが最も仕事になる流れです。

 

個人投資家等のセミプロの方々は、投資用不動産もしくは自用の居宅を保有(使用)することが多いでしょう。この時点で仲介会社は、手数料の最大化は図れません。さらに購入時に仲介手数料を値切ると仲介会社に入る手数料は減ります。さて、この話を聞いて、あなたが仲介会社であった場合、「不動産会社」と「個人投資家等のセミプロ」どちらに物件を紹介するでしょうか?よく考えてみましょう。

 

③任意売却、不動産に対する知識

最後に、不動産、任意売却物件に対する知識をつけましょう。任意売却物件にはリスクが付きまといます。そのリスクを知らないで購入してしまうということがリスクです。リスクを把握した上で、検証して、将来どのようなことが起こりうるか、その上で購入すべきかどうか判断すればいいのです。

 

 

競売より任意売却物件をおススメする理由

私は、競売より任意売却物件をおススメします。なぜならば、競売はわからないことが多いからです。競売は「①内覧できない」「②占有者がどのような方かわからないことがある」「③購入したら自分でやらないといけない」など不確定要素が多いのです。

私が、扱っていた任意売却物件で占有者がちょっとお取扱いできないタイプの方だったことがありました。そして、その物件は、競売に流れていくのですが、競売の3点セットには、占有者がいるということしか書かれていないのです。この時私は競売のリスクを改めて感じました。競売時のリスクは、任意売却では注意を払って、仲介会社の協力を得れば、ある程度のそのリスクは軽減することが出来ます。

競売と任意売却ともにいい物件は出てくるでしょう。その中でリスクを軽減することができるのは任意売却だと思っています。従って、私は任意売却物件をおススメしています。

 

© 2017 KEIICHI